今見える教室

2005年5月17日
分度器の友人(4月11日の日記参照)が遊びに来た。

妙な事になりはしたが、やはり昔からの友人だよなぁと納得。私の精神の揺れ動きをほんのちょっとのメールから察する事ができる友人は、そんなに多くない。

バニラアイスと(なぜか)オレンジキュラソーの土産を頂く。お菓子作りをしたことの無い人は、まずこのオレンジキュラソーの名前からして知らないと思われるが、要は風味付けの料理酒だ。それはかろうじてわかったが、一体この組み合わせは…??

彼女いわく「料理酒(ブランデーでも可)をアイスにかけて食べると美味しい」と。騙されたと思って食え食えとうるさいので、騙されたと思って食った。

…うまーい!!

安いスーパーカップと、芳醇な香り漂う料理酒の絶妙なマッチング。これは知らなかった。感動する私の前で「してやったり」と言いたげに微笑む彼女を見るうちに、「ああ、私はこの子のこういうトコ好きだな」と思った。スタイルも容姿も決して悪くないのに、なぜか高校時代すみっこで生きていた彼女の魅力に気付く男は、そういえばあまりいなかった。

そんな感じで高校の卒業アルバムを二人で鑑賞。そして驚くべきことに、二人して同じ感想を持つこととなった。

同窓会などを開くとおそらくそうなると思うのだが、概してクラスでも目立っていた部類の人たち(男ならちょっと悪ぶってた人とか、運動部に所属してた人とか)の話は必ず出る。というかそうでもなかった人に関しては、名前を聞いても思い出せない事がある。中学や小学校に関してはそうでもないのだが、なぜか高校時代に顕著だ。高校くらいになると、皆自然に「興味ある人/ない人」の分類ができるようになるのだろうな。

しかし今回何年振りかに卒アルを見て気付いたのは、「今もう一度会いたい」と思う人が意外に多いという事。そしてそれはクラスで目立っていた人ではない。むしろアルバムを見るまで忘れていたような人たちだ。

一緒に見ていた彼女いわく(彼女は彼女で当時好きな人はいたのだが)、もう一度会いたいのはI君という男子だと。I君は私も知っているが、本当に普通過ぎる人で、別に嫌われているわけでもなかったしかといって人気があったわけでもなく。っていうか何部に所属していたかも知らない。本当に話題にも上らない、ごく普通の男の子だったのだ。

なんで昔好きだった人じゃなくてI君に会いたいのかと聞いたところ、「今だから良さがわかる」と。はぁ〜、なるほどね〜、と思った。確かに私ももう一度会ってみたいと思うのは、当時目にもとまらなかったような男子だ。

文化祭の打ち上げで行った居酒屋(そう言えば当時はただ居酒屋に行っただけで、大人になったような錯覚をしたものだ)で、ドリンクを注文した時、彼女が頼んだカルピスサワーに間違えてI君が先に口をつけてしまったと。

それに気付いたI君は顔を真っ赤にして謝り、「別にいいよ、それ飲むから」と言う彼女を突っぱね、店員にもう一度同じカルピスサワーを注文したと。しかしなかなかそれは来なくて、その間彼女もI君も何も飲まず何も食べず、ただ待っていたそうだ。はっきり言って間接キスなんか彼女にとってはさしたる問題ではなかったのに、I君は本当に申し訳なさそうにしていたと。

え、だから?って感じではあるが、彼女はもう一度I君とあの時の話をしてみたいという。

「うちの高校全然いい男いないよねー」というのは、当時の私と彼女の共通の見解だったが、本当に何もわかっていなかったのだなぁと、今更ながら思う。そして当時自分がどうして全然モテてなかったのかも、なんとなくだが納得。

大人になるとはどんな事なのか。きっと端的に言い表せるわけないんだろうけど、敢えて一部分を定義するならば、「今までわからなかったものの価値がわかるようになる事」ではないかと。

酒の味然り、人の魅力然り。

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