私は長い間、「頭が良い」というのは善いことに違いないと思っていた。いた、という部分に注目。

そしてそれと同じように、「理屈が通っている」ということに対してもある種の絶対的な価値を与えていたようだ。これも善い意味で。世の中の事柄が全て何らかの秩序に従っていれば(しかも例外無く)、なんて素敵なのだろうと。

でもどうやらそうでもないらしい。

かといって「理屈が通っている」ことが悪いことだと言いたいのではない。「理屈が通っていない」ことが必ずしも悪いことではないとわかったのだ。

世の男性諸君は「女心がわからない…」といって苦労されているようだけど、こう言っちゃなんだが多分未来永劫わからないと思う。そもそも「わかる」ということは、混沌の中に自分なりの秩序を発見することだけど、女心には秩序となり得そうなちょっとのとっかかりさえ無いときがあるから。

わかり辛いから、例を出そうか。

あの有名すぎる青春小説『ノルウェイの森』(村上春樹著)の登場人物で、ミドリという女性がいる。彼女が確かものすごく良い例となる発言をしていたので紹介しよう。(でも手元に本が無いのでかなり正確さに自信が無い。)

ミドリの理想とする男性は、たとえば彼女が何の脈絡も無く「イチゴのショートケーキが食べたい」と言い出したら、何もかもを中断して買いに行く人だそうだ。そして彼が散々苦労して買って来ても、「もうこんなの食べたくなくなっちゃったわよ!」と言って箱ごと窓から投げ捨てるとする。でも彼はこう言うべきなのだ。「ごめんよミドリ。君がイチゴのショートケーキを食べたくなくなっちゃうことを、僕は予想するべきだったんだ。じゃあ今は何が食べたい?またすぐに買いに行くよ。」と。

「なんだオマエは!!」と言いながら思わずケーキをぶつけてやりたくなりそうだが、この発言は時に秩序の存在しない女心を、かなりピンポイントで捉えていると思う。

私が何とも言えず不機嫌な時、多くの男性(ってそんなに多く付き合ったことないけどさ)は私に理由を問う。でも理由というのは、それなりに理屈が通ってないと相手に納得してもらえないし、だからこちらは説明できないのだ。かなりストレートに言って構わないなら、「よくわかんないけどあんたが私の言うことを何でも黙って聞いてくれないのがムカつく!!」ってやつだ。

全く理屈は通っていない。でもそれが正しいか正しくないかの問題以前に、既にそういう感情が存在しちゃってるんだから、それはそれでなんとか対処するしかない。

それはわかっているのだが。

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