留学していた友人がいつの間にか帰国していたようで、今日偶然会う。

「いつ振りだっけ!?」と慌てて確認したところ、私が大学一年のとき以来、つまり三年以上も会っていなかったということが判明した。で、そんな彼女の口から飛び出した仰天フレーズなのだが、「○○くんとはどう?」と。

この○○くんというのは、浪人〜大学にかけて半年ほど付き合った甘酸っぱい(いや、本当は塩辛い)思い出の相手で、高校時代同じ部活に所属していた。カウントすると、まあ、「前の前の彼氏」ということになる。

その後も彼女から数多の仰天フレーズが飛び出たことではっきりしたのだが、つまり、彼女の中の「わたし」は、未だに大学一年の頃の私のまま止まっているということだ。

で、まるで思い出を切り取るように、私は今日「当時のわたし」に邂逅した。

「当時のわたし」というのは、もちろん処女で、今より6キロ太っていて、まだサークルに所属していて、暇さえあれば男のことばかり考えていて、素敵な恋を夢見ていて、料理も掃除も洗濯もできなくて、将来の展望も無くて、運転免許をまだ持ってなくて、ミニスカートに抵抗が無くて、お酒はカシスソーダと青リンゴサワーしか飲めなくて、ラブホテルに行ったことが無くて、自分のことをイケてると思ってて、好きな男のタイプは「背が高いスポーツマン☆」で、プリクラをアホみたいに撮ってて、「最初のデートでワリカンなんて最低!」と平気で男を罵ってて、選挙権も無くて、出かけるときもハンカチを持ってなくて、浮気をしたことが無くて、デパートの化粧品カウンターに行ったことが無くて、よく行く店は「サイゼリヤ」で、合コンに行ったことが無くて、眉毛を抜かずに染めていて、「最初にエッチする人と結婚する!」と決めていて、尊敬する人は予備校の世界史講師で、まだ真実は絶対にあると信じていて、友達を傷つけることに無頓着で、「もっともらしく見える偽物」が何より好きで、すごく無邪気で底なしに明るくて鈍感で憎らしいくらい純粋な19歳だった。

彼女に「あれからどうしてたのさ〜?」と聞かれても、一体何から説明すればいいのかさっぱりわからず、談笑もそこそこに別れ、私は今日三ヶ月振りに大学の門をくぐり、昔は当たり前のように通っていた中庭に入った瞬間、自分でもわけがわからず涙が溢れてきて、歩けなくなってしまった。

一体何が悲しいのか、全然わからない。でも30分位泣いていたと思う。

そんな私の元に、6歳年上のある方(おそらく仕事中)からメールが。

19歳の「当時のわたし」が住んでいた場所で、冷静に丁寧な(多分)返事をこしらえる自分が、とても不思議だった。「大人になったな。」とかそういう陳腐な感慨ではなく、「ああ、時間は確実に流れているんだ。」とでも言えばいいのか、その流れに容赦なく流されつつもそれなりにやってきた自分を確認したと言えばいいのか。よくわからない。

とにかく、結論としては、久しぶりに大学に行ったというのに「懐かしいな」と思う暇も無く、なんだかセンチメンタルな気分になってばかりで、よくわからないけどやりきれなかったということだ。

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