つい最近、「日曜日の幸福」をテーマにした日記を書いたが、今日はその続編。「アフター5の幸福」について。

私は学生だが、最近は8時半〜17時という「OLかよ!」的シフトを組まれているので(もちろんアルバイト。)、しかも私の勤め先は場所柄OLさんがとても多く、仕事を終えて外に出ると、彼女たちの「これから約束があるの♪」的ウキウキオーラにすっかりあてられてしまう。

そんな今日。17時に上がったものの、新人が多い本日、イレギュラーな業務が大量発生しボランティア延長。待ち合わせは19時過ぎだったので余裕で間に合うだろうと思いつつも、迅速に対応し脱出。地下のトイレ(OL占有率高し。)で念入りにおめかし。チークをぼかして、グロスを塗って。とはいうものの、雨だったので足下はスニーカー。首にはヘッドフォン。個人的にはこの絶妙なアンバランスさがポイントでは、と思っていたのだが。

それにしても、彼女ら(OLさんたち)を美しくさせ得るその相手、というのがそれこそこのトイレを埋め尽くす数と同等に存在するのだなと思うと、妙な気分でもある。互いに牽制し合っているわけではないが、幸福感を共有しているというほのぼのさは無い。どちらかといえば緊張感が満ちている。誰一人口をきかず黙々と鏡を見つめているのだが、その鏡の先にそれぞれ大切な「アフター5を過ごす相手」を見ているのだろう。

すっかり美しくなったところで、駅に向かう。待ち合わせ場所はハッキリ決まっていないので、私の「アフター5を過ごす相手」の連絡を待つべく、彼の勤め先の最寄り駅へ。10月ということでもうすっかり日が暮れて、でも晩になって空気がひんやりするのも、街に大人が多くなるのも、小娘の私にはなんだか嬉しくて「ああ、そうか。晩(夜ではなく)というのは、幸福な時間帯だったのだな。」ということに、23年間生きてきて初めて気付く。何を今更。別に、晩に約束するのが生まれて初めてというわけではないのに。

19時過ぎには上がれるという話だったが、どうも「刈り取り業務」が難航している模様。「本当にすまん!」という内容の現状報告メールを随時受け取りながら、彼の会社にほど近いカフェで、結局21時まで待ちぼうけ。熱々だったブラックコーヒーも冷めちゃった(マイルドなブレンドも、時間が経つと酸味が際だって、すっぱい。)。彼から借りた本(最近、色々借りっぱなしである。)も読んじゃった。でも不思議と嫌ではなくて、「そういえば、昔、"待つ時間を食べて女は生きる"というフレーズを聞いたな。あれはどこで聞いたのだっけ?」ということをぐるぐる考えているうちに、待ちに待った着信。

あああ、お待ちしておりました。

ネクタイが若干緩んでいるのが、なんだか嬉しい。そういえば、この前は白いワイシャツだったけど、今日は青いのだな。男のスーツなんてみんな一緒だと学生の私は思っていたけど、ワイシャツとネクタイの組み合わせが、彼ら・彼女ら(私含む)にとって如何に重要か、ということに初めて気付く(初めて気付くことばっかりだ)。

一緒に焼肉を食べながら、「どうして人は人を好きになるのだろう。」というおよそ焼肉に不釣り合いな深遠なテーマについて、一人きりで考える。(と言いつつ、これは個人的な意見だが、「焼肉」ほど人生の深い部分に結びつく食事は無いような。イタメシとかじゃ、こうはいかない。すみません、余談です。)話題は、今私たちの間で流行している「"ファンタジー"としての女」に関して。もちろん熱い議論を繰り広げるのだが、私は終始「どうして人は人を好きになるのだろう。」ということばかり考えていた。どうしてだろう。

たとえば、私は坂口憲二がどうしても好きになれないのだが、あの人は実際かなり「イイ男」だと思う。「理性」として、そう思う。でも好きにはならない、と思う(いや、会ったらわかりませんが)。同時に、私は陣内智則を「イイ男」だとは思わないが、会ったら好きになりそうな予感がする(まあ、これもわからないのですけど)。これは「理性」ではない。

人が人を好きになるとき、「観念」の要素がどれくらい入り込むのだろう、と。私は人よりかなり「観念の世界」に生きている傾向があるので、最近はすっかり混乱している。私は彼を「イイ男」だと思っているが、じゃあ私の親友も彼を好きになるかどうかといえば、わからない。好きになるかもしれないし、ならないかもしれない(なったら嫌だ)。つまり万人に共通する「客観的な項目」ではない。「観念」は主観的なものなのだ。でも、私の中に確かに存在している。彼は、私の目の前で「観念」として存在するが、私の心の中では揺るぎない客観性を持ってもいる(私は彼を格好いいと確かに思っているから)。

そうか!目に見えるものが「客観的」ではないのか。むしろ目に見えない心の中にあるからこそ、絶対的な「客観性」を持つのだな!そうか、そうか、そうだったのか。と、一人、唐突に導き出された結論に満足し、〆の冷麺をすする。それにしても、一緒に焼肉を食べながらこんなことばかり考えている頭の固い女と、この人よく付き合っていられるなと私は思ったりもするのだが、彼も私と同じかそれ以上に「観念の世界」に生きているし、すぐに難しいことばかり言ったりするので(基本的に彼は前置きが長く、前置きばかり話しているうちに本論に入らないまま終わったりする。)、お互い様さまかもしれぬ。

そんな感じ。

頭の固い男と女と、雨と、緩んだネクタイとワイシャツと、すっぱいブラックコーヒーを抱きつつ、「幸福なアフター5(アフター9?)」は幕を閉じました、とさ。

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