小娘の沈黙
2005年11月10日人の心とは不思議なもので、矛盾する感情が、平気で同居することが、しばしばある。そういう場合、いったいどちらの思いがほんとうなのか、本人でもよくわからない。たぶん「どちらか」ではなく「どちらも」ほんとうなのだろう。(by俵 万智)
これは「大人」にとっては当たり前のことなのだろうか?
私は「保留」することが苦手で、白黒つけたがるタイプだ。自分の気持ちに関しても例外ではなく。矛盾する二つの感情が同時に存在しても、今まではそのどちらかに注目していたように思う。どちらかに注目して、言葉にしていた。
ちっとも具体的じゃないから、ある歌を紹介しよう。
春宵の酒場にひとり酒啜る誰か来んかなあ誰あれも来るな -石田比呂志-
つまり、ちょっぴり人恋しくて、でもぼんやり一人でいたい…。二つの相反する感情を同時に抱きつつも、この作者はたぶん酒場のオヤジに「誰かと話したいような、でも一人ってのもいいような、不思議な気持ちなんです。」などと言わないだろう。ひとまず「保留」して、自分は今どちらの気持ちが本当なのか、ちょっと考えてみて、ああどっちも本当なのだと気付いて、そしてどちらの気持ちも口に出さずに、一人静かに歌を詠むだけ。
「保留」できない私ならどうするかというと、あるときには「人恋しい!」と決めてそれを口に出し、またあるときには「一人って最高!」と口にする。強引にどちらかに決めつける。だから、そのときどきで違うことを言っているように思われて、あらぬ誤解を招くのだろう。
「保留」を少し覚えた最近の私は、今度は同居する二つの気持ちを、二つとも口に出す。酒場のオヤジに「誰かと話したいような、でも一人ってのもいいような、不思議な気持ちなんです。」と言っちゃうのだ。たしかにどちらも本当だから、あらぬ誤解を招くようなことは無いだろうが、それもどうなの?という気がする。私の日記が長いのも、またおしゃべりなのも、メカニズム的にはこういうことだろう。
だから、これからは、相反する二つの気持ちを同時に抱いたときは、何も言わないことにしよう。
今までの私がどうしていちいち人に伝えたかったかというと、私が色々なことをちゃんと考えている・感じているのだと証明したかったのだと思う。二つの相反する感情を同時に抱く位に自分は情緒的だ、だからわかってくれ!という押しつけだ。
人を信頼しよう。相手が「りんはきちんとわかっているはず、考えているはず。」と思う気持ちを信頼しよう。なぜこんなことを思うようになったかといえば、私の心の奥に流れる水を既に知っているある人が、私が思っている以上に色々と感じてくれているのだと気付いたから。口に出して「うん、わかるよ。君がそう考えていることは。」と言ってもらうのは嬉しいけど、それだけでは駄目だ。
それこそ、さきほどの例のように、春宵の酒場でそのある人と飲むことがあったなら、互いに相反する気持ちをもてあましているのを知った上で、それにはお互い触れないようにしたい。たぶん、ある人は、素敵な春宵を味わえるくらいに情緒的なのは間違いないし、私が同じものを味わっていることもご存知のはず。証明しなくてもいい。そしてテーブルを挟んで対面するよりも、並んで腰掛けて別のものを眺めながら、たまに目を合わせて「おいしいね。」と言えるくらいでいいね。
黙り込むとはちょっと違うな。あえて口に出さないことは、好きな相手を信頼すること。こんなことは、今まで誰も教えてくれなかったよ。
-----------------------------------------------------------------
備忘。
●俵 万智の『三十一文字のパレット』(中公文庫)読了。
本文にも出てきた通り。
先日の佐藤真由美がひたすら恋愛だけをテーマにしているのに対し、こちらは恋愛以外の歌が多く、男性歌人の作品が多く掲載されているのが特徴。
俳句は必ず「季語」が無くてはいけないらしいが、短歌はどうなのだろう。佐藤真由美(なんだかんだ言ってるけど、私はこの人わりと好きだ。)の歌はつぶやき系で、描写の要素が少ない。一方、今回の本は目の前にパッと情景が広がるような鮮やかな歌が多かった。「季語」というか、そういう情景が浮かぶ単語が入っている作品の方が、私の性に合うのだろう。
火の剣のごとき夕陽に跳躍の青年一瞬血ぬられて飛ぶ -春日井 建-
素敵だ。
●体重増加。
食欲の秋というが。
夏に激減した分はすっかり元に戻ってしまった。それは多分いいことに違いないが、問題は失恋する前より増えてはいかんだろうという。速やかに対策を練るべし!!
とりあえず深夜の寝酒は控えよう。パソコンに向かいながら発泡酒をやるのが習慣化しているが、たぶんこれがまずい。
というわけで、いつも飲む麒麟淡麗(黒)を、麒淡麗麟グリーンラベルにしてみたよ!!糖質70%オフッフッフッフッ。(そもそも飲むこと自体をやめろ、自分。)
これは「大人」にとっては当たり前のことなのだろうか?
私は「保留」することが苦手で、白黒つけたがるタイプだ。自分の気持ちに関しても例外ではなく。矛盾する二つの感情が同時に存在しても、今まではそのどちらかに注目していたように思う。どちらかに注目して、言葉にしていた。
ちっとも具体的じゃないから、ある歌を紹介しよう。
春宵の酒場にひとり酒啜る誰か来んかなあ誰あれも来るな -石田比呂志-
つまり、ちょっぴり人恋しくて、でもぼんやり一人でいたい…。二つの相反する感情を同時に抱きつつも、この作者はたぶん酒場のオヤジに「誰かと話したいような、でも一人ってのもいいような、不思議な気持ちなんです。」などと言わないだろう。ひとまず「保留」して、自分は今どちらの気持ちが本当なのか、ちょっと考えてみて、ああどっちも本当なのだと気付いて、そしてどちらの気持ちも口に出さずに、一人静かに歌を詠むだけ。
「保留」できない私ならどうするかというと、あるときには「人恋しい!」と決めてそれを口に出し、またあるときには「一人って最高!」と口にする。強引にどちらかに決めつける。だから、そのときどきで違うことを言っているように思われて、あらぬ誤解を招くのだろう。
「保留」を少し覚えた最近の私は、今度は同居する二つの気持ちを、二つとも口に出す。酒場のオヤジに「誰かと話したいような、でも一人ってのもいいような、不思議な気持ちなんです。」と言っちゃうのだ。たしかにどちらも本当だから、あらぬ誤解を招くようなことは無いだろうが、それもどうなの?という気がする。私の日記が長いのも、またおしゃべりなのも、メカニズム的にはこういうことだろう。
だから、これからは、相反する二つの気持ちを同時に抱いたときは、何も言わないことにしよう。
今までの私がどうしていちいち人に伝えたかったかというと、私が色々なことをちゃんと考えている・感じているのだと証明したかったのだと思う。二つの相反する感情を同時に抱く位に自分は情緒的だ、だからわかってくれ!という押しつけだ。
人を信頼しよう。相手が「りんはきちんとわかっているはず、考えているはず。」と思う気持ちを信頼しよう。なぜこんなことを思うようになったかといえば、私の心の奥に流れる水を既に知っているある人が、私が思っている以上に色々と感じてくれているのだと気付いたから。口に出して「うん、わかるよ。君がそう考えていることは。」と言ってもらうのは嬉しいけど、それだけでは駄目だ。
それこそ、さきほどの例のように、春宵の酒場でそのある人と飲むことがあったなら、互いに相反する気持ちをもてあましているのを知った上で、それにはお互い触れないようにしたい。たぶん、ある人は、素敵な春宵を味わえるくらいに情緒的なのは間違いないし、私が同じものを味わっていることもご存知のはず。証明しなくてもいい。そしてテーブルを挟んで対面するよりも、並んで腰掛けて別のものを眺めながら、たまに目を合わせて「おいしいね。」と言えるくらいでいいね。
黙り込むとはちょっと違うな。あえて口に出さないことは、好きな相手を信頼すること。こんなことは、今まで誰も教えてくれなかったよ。
-----------------------------------------------------------------
備忘。
●俵 万智の『三十一文字のパレット』(中公文庫)読了。
本文にも出てきた通り。
先日の佐藤真由美がひたすら恋愛だけをテーマにしているのに対し、こちらは恋愛以外の歌が多く、男性歌人の作品が多く掲載されているのが特徴。
俳句は必ず「季語」が無くてはいけないらしいが、短歌はどうなのだろう。佐藤真由美(なんだかんだ言ってるけど、私はこの人わりと好きだ。)の歌はつぶやき系で、描写の要素が少ない。一方、今回の本は目の前にパッと情景が広がるような鮮やかな歌が多かった。「季語」というか、そういう情景が浮かぶ単語が入っている作品の方が、私の性に合うのだろう。
火の剣のごとき夕陽に跳躍の青年一瞬血ぬられて飛ぶ -春日井 建-
素敵だ。
●体重増加。
食欲の秋というが。
夏に激減した分はすっかり元に戻ってしまった。それは多分いいことに違いないが、問題は失恋する前より増えてはいかんだろうという。速やかに対策を練るべし!!
とりあえず深夜の寝酒は控えよう。パソコンに向かいながら発泡酒をやるのが習慣化しているが、たぶんこれがまずい。
というわけで、いつも飲む麒麟淡麗(黒)を、麒淡麗麟グリーンラベルにしてみたよ!!糖質70%オフッフッフッフッ。(そもそも飲むこと自体をやめろ、自分。)
コメント