サドルの外れた自転車で通勤しているという男気溢れる友人と、その彼女さんに会うため、大阪へ。

小さい頃、毎日のように日が暮れるまで遊んで、家に帰る頃には「あー!楽しかった!!」と思うのが普通だった。それがいつからか「はしゃぐこと」が苦手になり、楽しいはずのことをしても「ま、楽しかったけど、くたびれたな。」などと思うことがほとんどで、純度100%の「楽」感情を味わえなくなっていたのだ。

今年に入って、心の底から「楽しかった!!」と言える日が多くなってきた。今回の旅行は、まさに純度100%の"楽しかった旅行"である。紀行文というジャンルが何故存在するのかが、ちょっとわかったような。楽しかった思い出はどんどん薄れていくけど、どうにかして記憶に留めておきたかったのだろう。と、思う。


●心斎橋〜難波にて、プチ・カルチャーショック。

宵っ張り二人組が頑張って6時半に起床。東京駅から新幹線で新大阪へ。

私の生まれ故郷である大阪。親戚の大半は大阪在住で、これまで何度も訪れているにも関わらず、あまり土地勘が無い私。連れをしっかりナビゲートするはずが、「太陽があっちにあるから南はこっちだ。」と言われるままに付いていく羽目に(トホホ)。

御堂筋を吹き抜けるブリザードに翻弄されながら、アメリカ村を流し、心斎橋筋に寄りつつ、「THE・大阪」な街、難波へ。

「別にええやん。」な基本精神が街に充満している。東京なら、「ここはこういうテーマね!」とエリア全体が暗黙のうちに主張しているものだが、大阪の場合、「隙間があるし、ええやん。」と思ったのか思ってないのか、そこにそれを作るか!というタイミングできんつば屋があったりたこ焼き屋があったりする。

笑えるのは、いちいち商魂たくましいことだ。何の変哲も無い時間制パーキングなのに、「○○町イチの駐車場!!」と書き添えてあったり。でも、「あそこの駐車場って本当にいいよねー。」と考えた上で駐めに行くことってほとんど無いような気がする。連れと共に大笑い。

食いしん坊で有名な連れと食い倒れの街へ行くことに対し、少々不安を覚えてはいたが、不安的中。一泊二日の旅程、食事の回数は限られているので、何を食べるかは深刻な問題だ。で、やはりというかなんちゅうか、最初の食事はカレーに決定。自由軒本店にて、文豪が愛した名物カレーを食す。自由軒に余程思い入れがあったのか、店構えをデジカメに収めている連れを、眩しい目で見る羽目になった私である。


●万博記念公園にて、太陽の塔を仰ぎ見る。

御堂筋線で千里中央へ。ちょいと郊外ということで、吹きっさらし。顔をパキパキにされながら、有名な「太陽の塔」に謁見。

万博記念公園に併設している遊園地・エキスポランドは、2歳の頃に両親に連れられて来たことがあるらしく、証拠の写真もある。が、記憶には無い。当時の私がまったく知らなかった人(当たり前だが)と共に、21年後再訪することになろうとは。


●友人に再会→ディナー。

阪急を使い、市街地へ舞い戻る。梅田で降り、阪急三番街で喫茶難民(なんであんなに人がいるのだ)になった挙げ句、友人(便宜上、Yさんと呼ぼう。)の元へ。

遅れて登場した彼女さんが某有名人に似ていて、「うまくやりましたねぇ、旦那ぁ。」とオヤジみたいなツッコミを入れたくなった。いやはや。

大阪にお越しの際はぜひ、と伺っていたお店は、「サービス抜群・店主小粋・美味しい」という、三拍子揃った素敵なお店で、ああいうお店は流行らなければならないと心から思う。乾杯のビール、お店の計らいによるワイン、ボトルキープされていた芋焼酎で、すっかりイイ気分になる。今思うと、このとき既に悲劇の種は蒔かれていたのだ。


●深夜のカクテル・パートナー。

二軒目。Yさんは相当の常連らしく、来る人来る人面識があるようだった。「大阪は人情の街だからなあ。」という有言実行の暮らしぶりを垣間見る。

そうそう。一流の船乗りが風の匂いを嗅いで「嵐の気配がする。」と察知するように、実は私、この時点でソコハカとなくイヤ〜な気配をピピピとセンサー感知していたのだが、私以外の三名(もちろん本人を含む)が、どれくらいそれに気付いていたかわからない。店を出て(このとき私の不安はややMAXに達しつつあった)、Yさんのマンションへ。コンビニで買ったつまみとウィスキーとカクテルで、仕切り直し。

そして、悲劇到来。「りんの素敵なOLへの道」始まって以来の痛恨の一撃!コマンド「どうする?」(←ドラクエ風に。)

とりあえず。二名(Yさんと彼女さん)にはくつろいでいただき、見えない所(トイレ&客間)で秘密裏に面倒を見る。「生き恥」とはよく言ったものだが、人は生きているということがそもそも恥ずかしいことなんだ…と、人のために洗面器を抱えながらしみじみ。

ただ、平気そうに見えたYさんもそれなりに酔ってはいたようで、「君たちは大丈夫?じゃあ、三人で飲もう!」と自分から言い出したのに、いきなり「寝るわ。」と言っていなくなってしまった(私、心の中で爆笑)。その後、必然的に女飲みに。初対面なのにとても楽しくて、朝まで話していたかった。が、翌日のために彼女には先に休んでいただく。

お風呂を借りた後広いリビングを占領して、一人、残った「カクテル・パートナー」をやる。しーんと静まりかえった部屋で、私の喉の音だけが聞こえる。ネガティブな意味合いではなく、「私はどうしてここにいるのだろう。」と思う。去年の今頃は今日共に飲んだ三人と知り合ってもいないのに、今年の冬、私は人の部屋で裸足になり、たった一人で酒を飲んでいるのだ。

今は「こうしたらこういう未来になるかな?」と考えながら生きているけど、その通りになる方が稀なんだ、と。そして、それはしばしば「一寸先は闇」という言葉に例えられるけど、闇ということは「何も見えない。」ということで、そこに素敵なものだってあるかもしれないということだ。

ソレはソレとして。朝起きて私の愛が冷めたまま回復しなかったらどないしよ、と本気で憂いつつ、洗面器のある部屋で就寝。ぐう。

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