本ばかり読んでいる。

川上史津子の『えろきゅん』(講談社)読了。

「エロティックで甘くて苦い三十一文字と恋物語!」と帯には書いてあるが。構成としては、官能小説そこのけのショートストーリー(恥ずかしい!)の最後に歌がくっついている、というもの。この川上史津子という歌人は、処女歌集『恋する肉体』が、Amazon.co.jpの歌集部門で一位を記録し、自称「日本一のエロ短歌女優」とのこと。直球勝負で性を詠い、支持を得ているそうな。

ほぉん。こんな人をチェックしていなかったとは、抜かったな。

私が好きそうだという理由でマイ・ラヴァーが貸してくれたのだが、いやはや。たしかに、私は「そういう人」だし(彼氏にそう思われているというのも、なんちゅうか、かんちゅうか。)、短歌を愛してもいるが、彼の予想は残念ながら外れてしまった。自分でも驚いている。

というのも、私は、「エロ」に対して同世代女子の日本平均より柔軟な態度をとっているつもりだが、決してラディカルではない。と、いうことが今回わかった。わかりやすく言うと、エッチな話はできるし好きだけど、「あ、あ、だめ、それは言わないで!」というラインもあるということだ。

「男子たるもの、エロであれ!」なんて一見ラディカルなことを書いている(2005年10月4日)のだが、私はたぶん、「エロ」に対しては保守的だ。(柔軟性を持っていることと保守的だということは、相反しない。)「嘘つけ!」と言われるかもしれないし、だからこそマイ・ラヴァーが薦めてくれたのだろうけど、とにもかくにも、そうなのだ。

正月早々、難しいハナシになっちゃうけど、なるべく簡単に書こう。

「二元論」とは、世界を「心」と「もの」の二つの要素でできていると考えることだ。私たちは、自分たちのことを分析するときに「心」と「身体」に分けることで、より理解が深まったり、「心」が「身体」に追従していると実感したりする。

この考え方をあえて用いてみよう。私は、自分の恋のハナシをするとき、図らずもエロティックになってしまうことがある。しかし、それは、いつも"図らずも"なんだ。私は、自分の恋愛にまつわる事件を、「エロい部分」と「ピュアな部分」に分けていない。二元論を用いていない、ということだ。

「心」と「身体」の境界線をどこに引くかなんて、一生わかるわけがない。両者を切り離すことは理解のとっかかりを掴むときに有効だけど、絶対、分けきることなどできない。同じように、真剣に恋をする私は、"図らずも"エロいことをしなきゃいけないし(わー!)、考えなくてはいけない。「エロい部分」と「ピュアな部分」を分けるなんて、そもそもナンセンスだ。

やれやれ、つまり何が言いたかったかというと、この川上史津子という人への私の印象は、「エロとピュアを切り離して考えているのでは?」というものだ。抑圧されがちなエロを解放することは、建前ばかり言う人が本音を明かしてくれたような気がして、感動をもたらす。でも、それは、恋と真剣に向き合う人が、"図らずも"エロティックになってしまったときに限る、と私は思っている。

相手を好きだ、手に入れたい、だから抱きたい、抱いてほしい、と思う瞬間があることを、私は知っている。そういう感情を、世間ではもしかして「エロ」と呼ぶのかもしれないけど、それ自体とがめられることではないと思っている。が、「エロ」とはこういうことかな、と逆から考えて向かう姿勢には「うーん…。」と思う。

セックスには人生の真理チックなことが潜んでいるような気がたしかに致しますので(なぜか敬語)、セックスを扱ったものが芸術になりやすいのもわかる。でも「セックスを芸術にしてやろう。」というのは、なーんか違うし、順序が逆よ、と思ってしまうな。

要は、恥ずかしかったってことだ。(←私って、意外に可愛くない?)

------------------------------------------------------------------

正月はずっとコタツムリ。ぬくぬく。

今晩は、一年に一回こっきりのすき焼きだ。祖父母を交えて賑やかにやろう。

コメント

nophoto
し〜ちゃん
2006年1月16日15:18

りんさま、初めまして〜♪
「自称・日本一のエロ短歌女優(笑)」川上史津子でございます
新年早々拙作をお取り上げ頂き、ありがとうございます〜!

ご意見伺って思ったのは「あ、矢張り『えろきゅん』乃至『エロ短歌』というネーミング(わたくし自身の命名ですがw)の印象が強かったのかなぁ・・・」で、ございます
「エロ短歌の川上です!」と名乗って全く恥ずかしくないわたくし それをフックと捉えてもらえるか、拒絶反応を示されるかは「エロ」という言葉が強いだけに大きな賭けではありました

正直に申し上げて「セックスを芸術にしてやろう。」という考えは無いのです
わたくし自身の恋をした時の体験や願望や妄想w それらが胸の辺りでモヤモヤっとしていた時に、あるキッカケでそれを三十一文字の短歌で切り取ろう! と思ったのが、物を書き出した始まりでした
爾来、気付けば恋愛、とりわけ性愛に特化した作品ばかりを発表しておりますが、それもわたくしの中では恋愛と性愛が不可分だからでありまして・・・すみません言い訳じみて参りました(苦笑)

ともあれ、御感想頂けて嬉しい限りです
どうぞ今後とも宜しくお願い申し上げます〜♪   しづこ拝

りん
りん
2006年1月16日21:53

>川上史津子さま。

初めまして。りんと申します。

まさか歌人であるご本人様からご意見を頂戴することがあろうとは、まったく予想しておりませんで…少々思い上がりに過ぎる拙いレビューを読んでくださり、こちらこそお礼とお詫びを申し上げたい位です。

恋愛と性愛が不可分という点、まったく同感です。だからこそ私は、性愛を一切排除した作品を見ると、あまりに綺麗過ぎる気がして違和感を覚えたりもします。

ところで、恋をしたときの体験や願望などのモヤモヤがキッカケになったとのことですが、あえて性愛のみに焦点を絞ったあたりに、私は不思議な気持ちがしたのだと思います。恋愛と性愛は不可分なので、性愛を扱うことに対して個人的に抵抗は無いのですが、なら性愛の描写を伴わない表現があってもおかしくないだろう、と思ったのです。

万が一、お気を悪くなさっていたら本当に申し訳ありません。こちらこそ、コメント、ありがとうございます!嬉しかったです。

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

この日記について

日記内を検索