1月27日の読書メモ
2006年1月27日コメント (2)リリー・フランキーの『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(扶桑社)、読了。
この本を読んで胸を打たれなかったと書いたら、非国民のような扱いを受けそうだ。というくらいに、たぶん、とてもイイ本。事実、胸を打たれた。何度も涙腺が緩みかけた。イイとか悪いとかを考える前に、著者を好きになってしまったし、著者のオカンを好きになった。
が、読後にリリーさんご本人のサイトを閲覧して腑に落ちたことがある。
敬愛するお兄さんが以前おっしゃっていたけど、読者に対する愛が無い文章は、どれだけまっとうなことを言っていても、読んでいて気持ちよくない。リリーさんは「こんなもの読んで誰が面白いんだろうな。」と思いながら、オカンの供養のような気持ちで、これを書いたそうだ。リリーさん自身は、人を愛せない人間ではないと思われるし、たぶん、とても温かい人だ。が、この本があくまでもオカンに捧げられているという前提が、なんとなく読者を突き放しているような、ある種の「独りよがりさ」をこちらに抱かせるのだ。
それでもこの本が受け入れられている理由として、すべての人に母親がいる、という事実がある。(存命かどうかは問題としない。)つまり、この本を手にとるすべての人が、もう最初から共感できる要素を確実に持っているということ。たとえば、この本がもし、死んだ恋人へ捧げたものだったとしたら、少し話は違うと思う。母を持たない人はいないが、恋人を持たない人はいる。
そして、この作品が「文学」として成立しているのか、という疑問点も残る。自分で書いているからわかるのだが、ブログを書いているときに近いような、些細な出来事の狭間に埋もれそうな感情を、その場その場に立ち返ってすくい上げたような、そういう印象がある。つまり、ただ「起こったこと」を時系列で再生しただけ、のような。
私が独りよがりな恋バナを炸裂したところで、同じように共感してくれる人はいないと思っている。たとえ、同じように恋人を持つ人でも、「100人いれば100通りの愛のかたちがある」ように、「ああ、私もこう思うことあるなー。」と、あくまで部分部分にしか共感できないだろう。私の思う「文学」とは、人が他人と同じ経験を決してできないにもかかわらず、誰もが「ああ、私もこう思うことあるなー。」と思えるような記述を、あくまでも「虚構」として第三者(主人公)に投影させたもの、その頻度が素人の書くそれとは比べものにならないもの。私はそういうものだと思っている。
たとえすべての人が母を持っているとしても。逆をいえば、誰でもリリーさんに匹敵するような物語を持っているということだ。母に対する思いの深さも、数値化して人と比べるものではない。恋をして独りよがりになった人に「私の恋愛ってすばらしいでしょ?」と言われたら、あまり良い気はしない。それと同じように、母を思う人に「私の母親ってすばらしいでしょ?」と言われても、そうね、としか言えない。
かといって、この本を批判したいわけでは決してない。
この本が「独りよがりさ」に満ちていても、読む人の心に必ず訴えかけてくる理由がある。リリーさんの「俺の母親ってすばらしいでしょ?」という思い以上に、ほかの誰でもないオカンへの「ありがとう」という気持ちに溢れているからだ。感謝の念は、ただそこにあるだけで、人を幸せにする波動を放つ。オカンへの溢れんばかりの愛情にどっぷり浸かることを潔しとし、あら探しをすることを忘れ、ときに自分の親と重ねたりして、いわゆる「バカ」になって読んで初めて、この本は良い本になる。
そういう意味では、この前観た映画、『ALWAYS三丁目の夕日』にも似ている。普遍的な感動要素をこれでもか!と散りばめた作品は、"そういう見方"をしてしまったら、その時点でオシマイだ。
そんな私は、ご多分に漏れず、「私ってば、なんて親不孝者…」という思いにかられ、急に親を大切にしたくなってしまったとさ。
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備忘。
●かぼちゃのそぼろあんかけ。
かぼちゃにはビタミンEが豊富らしい。そして、胃腸にとてもイイらしく、毎日でも食べた方がいいらしい(便秘・下痢問わず、予防できるそうだ。)。ほほう、と思う。
鶏挽肉、かぼちゃ、だし汁、
砂糖、酒、みりん、しょうゆ、片栗粉、しょうがの絞り汁
鍋に鶏挽肉を入れ加熱し、かぼちゃを入れ、だし汁&砂糖を投入。沸騰したら弱火にして、しばらく煮る。その後、みりんとしょうゆを加え、柔らかくなるまでまた煮る。かぼちゃになるべくかからないように水溶き片栗粉を加え、しょうが汁を加える。その後、鍋止め。
本日、みりんと間違えて酢を入れたのは私です。
この本を読んで胸を打たれなかったと書いたら、非国民のような扱いを受けそうだ。というくらいに、たぶん、とてもイイ本。事実、胸を打たれた。何度も涙腺が緩みかけた。イイとか悪いとかを考える前に、著者を好きになってしまったし、著者のオカンを好きになった。
が、読後にリリーさんご本人のサイトを閲覧して腑に落ちたことがある。
敬愛するお兄さんが以前おっしゃっていたけど、読者に対する愛が無い文章は、どれだけまっとうなことを言っていても、読んでいて気持ちよくない。リリーさんは「こんなもの読んで誰が面白いんだろうな。」と思いながら、オカンの供養のような気持ちで、これを書いたそうだ。リリーさん自身は、人を愛せない人間ではないと思われるし、たぶん、とても温かい人だ。が、この本があくまでもオカンに捧げられているという前提が、なんとなく読者を突き放しているような、ある種の「独りよがりさ」をこちらに抱かせるのだ。
それでもこの本が受け入れられている理由として、すべての人に母親がいる、という事実がある。(存命かどうかは問題としない。)つまり、この本を手にとるすべての人が、もう最初から共感できる要素を確実に持っているということ。たとえば、この本がもし、死んだ恋人へ捧げたものだったとしたら、少し話は違うと思う。母を持たない人はいないが、恋人を持たない人はいる。
そして、この作品が「文学」として成立しているのか、という疑問点も残る。自分で書いているからわかるのだが、ブログを書いているときに近いような、些細な出来事の狭間に埋もれそうな感情を、その場その場に立ち返ってすくい上げたような、そういう印象がある。つまり、ただ「起こったこと」を時系列で再生しただけ、のような。
私が独りよがりな恋バナを炸裂したところで、同じように共感してくれる人はいないと思っている。たとえ、同じように恋人を持つ人でも、「100人いれば100通りの愛のかたちがある」ように、「ああ、私もこう思うことあるなー。」と、あくまで部分部分にしか共感できないだろう。私の思う「文学」とは、人が他人と同じ経験を決してできないにもかかわらず、誰もが「ああ、私もこう思うことあるなー。」と思えるような記述を、あくまでも「虚構」として第三者(主人公)に投影させたもの、その頻度が素人の書くそれとは比べものにならないもの。私はそういうものだと思っている。
たとえすべての人が母を持っているとしても。逆をいえば、誰でもリリーさんに匹敵するような物語を持っているということだ。母に対する思いの深さも、数値化して人と比べるものではない。恋をして独りよがりになった人に「私の恋愛ってすばらしいでしょ?」と言われたら、あまり良い気はしない。それと同じように、母を思う人に「私の母親ってすばらしいでしょ?」と言われても、そうね、としか言えない。
かといって、この本を批判したいわけでは決してない。
この本が「独りよがりさ」に満ちていても、読む人の心に必ず訴えかけてくる理由がある。リリーさんの「俺の母親ってすばらしいでしょ?」という思い以上に、ほかの誰でもないオカンへの「ありがとう」という気持ちに溢れているからだ。感謝の念は、ただそこにあるだけで、人を幸せにする波動を放つ。オカンへの溢れんばかりの愛情にどっぷり浸かることを潔しとし、あら探しをすることを忘れ、ときに自分の親と重ねたりして、いわゆる「バカ」になって読んで初めて、この本は良い本になる。
そういう意味では、この前観た映画、『ALWAYS三丁目の夕日』にも似ている。普遍的な感動要素をこれでもか!と散りばめた作品は、"そういう見方"をしてしまったら、その時点でオシマイだ。
そんな私は、ご多分に漏れず、「私ってば、なんて親不孝者…」という思いにかられ、急に親を大切にしたくなってしまったとさ。
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備忘。
●かぼちゃのそぼろあんかけ。
かぼちゃにはビタミンEが豊富らしい。そして、胃腸にとてもイイらしく、毎日でも食べた方がいいらしい(便秘・下痢問わず、予防できるそうだ。)。ほほう、と思う。
鶏挽肉、かぼちゃ、だし汁、
砂糖、酒、みりん、しょうゆ、片栗粉、しょうがの絞り汁
鍋に鶏挽肉を入れ加熱し、かぼちゃを入れ、だし汁&砂糖を投入。沸騰したら弱火にして、しばらく煮る。その後、みりんとしょうゆを加え、柔らかくなるまでまた煮る。かぼちゃになるべくかからないように水溶き片栗粉を加え、しょうが汁を加える。その後、鍋止め。
本日、みりんと間違えて酢を入れたのは私です。
コメント
こんにちは!かぼちゃのそぼろあんかけ、落とし蓋をするとイイらしいです。あと、かぼちゃを煮る前に面取りすると煮くずれしないので、見た目も綺麗に仕上がるそうです。みりんと酢だけは間違えないでください!(色、似てる…)
あんな文章がイイだなんて、恐縮です。。。ありがとうございます!