映画の美味しい季節につき、今週も(飽きずに)映画デイト。

定刻に起床。ねぼすけマイ・ラヴァーよりモーニングコールの依頼があったことを思い出し、モーニングにコールする。ただ鳴らせばいいのかと思いきや、「あのね、モーニングコールしてね。でね、思わず起きたくなっちゃうような甘い感じでお願い。早く起きて!とかだと、起きたくなくなっちゃうから。」という厄介なオーダーなので、「おはよぉ♪起きたぁ?」と、声優そこのけのスウィートヴォイスを絞り出してみた。朝から疲労。

お目当ては、本日公開の『オリバー・ツイスト』。モーニングコールしたにもかかわらず、マイ・ラヴァー遅刻。なんでも、「これは本当の話なのですが、部屋の時計が20分遅れてまして…。」とのこと。本当かよ、と思わず疑ったが、後で確かめてみたら本当だったので、まあ仕方ない。

本日のデイトコースは、日比谷で映画鑑賞→浅草散歩。なぜ浅草になったかといえば、「ねえ、笑わないでね。実は…浅草に行きたいんですが。あ、あ、コラ、笑い過ぎ!!」と言った人がいたからだ。私が笑ったのは、浅草がデートスポットしてどうかという問題ではなく、彼と浅草の組み合わせがあまりにも絶妙だった故だ。まだ若いのに、シブ過ぎやしないか。

シブイ人は嫌いじゃないので、浅草に向けてゴーゴー!…と思ったのに、事件発生。

マイ・ラヴァー:「携帯が無い!」

顔色を変えて、元来た道を引き返す二人組。最後に触ったのはいつなの、映画観た後にトイレに行ってそのときにポケットから出したぞ、(なんでわざわざポケットから出すのだろう…)、電車に駆け込んだときに落としたのではないか、いやそれなら落ちるときに音がするだろう、じゃあ絶対トイレだよ、と騒ぎながら、日比谷にゴー・バック。

怪しいと思われる男子トイレに到着。私は入れないので待機。結果は×。「さっき入った所に人が入っててね、そこに携帯ありますかッ!?って聞いたら、無いって(泣)。」とのこと。真剣な用足し中に話しかけられた人は気の毒だな、と思う。仕方ないので、施設のインフォメーションに届け出る。

すると、あった!

綺麗なおねえさんの案内で遺失物センターへ。良かったねえ、良かったなあ、と15回くらい連呼(思わずハイ・タッチ)。まるで栄光を手にしたかのような表情で遺失物窓口から戻ってきた彼だけど、実は、彼の携帯には旅行先で購入したらしい"族"っぽいシールが貼ってあり、私なら受け取るの恥ずかしいな、と思う。さらに、インフォメーションの(綺麗な)おねえさんに「携帯があったことを知らせたいなあ!」などと言いやがり、せっかく見つかったのに、やや不機嫌になってしまった。

夕食は、浅草の老舗洋食屋にて。昔ながらのタンシチュー(数量限定)を、あつあつの状態でいただく。へぇボタンを連打したくなるくらい、「へぇー!!」な味。要は、美味しかったということだ。本当に狭い店内は、実家の居間を連想させるような風味と色合いで、まるでおかあさんのゴハンを食べているような気持ちになる。

食事後、散歩。ここも老舗だろうなーと思われる古本屋を発見し、案の定入っていくマイ・ラヴァー。『東京の歴史名所を訪ね歩く』、『食うことが好き!』という本を発見し、彼にピッタリだと思い、こっそり笑う私。それにしても、一緒に出かけるたびに本を買っている某氏。今日も色々買っていた。これ以上あの部屋に本を増やすのか。散らかるからどうのという心配は既に終わった気がする。次は、床が抜けて下の人に迷惑をかけないだろうかという問題だ。

今日はこれで終わりかと思いきや、私のリクエストでバーに連れていってもらう。実は、初めて口説かれた日に訪れた店。「こんなところに連れて来られたら思わず惚れるわあああ!!」と頭を掻きむしりたくなるような場所にある。彼に「俺はそんなにモテないよ。」と言われてもイマイチ信用できないのは、こういう店を知っているからだ。四ヶ月前に思いを馳せながら、シャンディーガフを辛口で。イタリアンマティーニ(ジンとアマレット?)を初めて飲む。

バーに行くことイコール大人になること、という発想自体が既に子どもじみていることは知っているけど、もし、「大人になるにはこれをしよう!」という項目をリストにしたら。私は、今の恋人に出会って初めてクリアする項目が多すぎる。じゃあ、クリアした分だけ大人になったのだろうか。たぶん、そんな単純な話じゃない。しかし、もし大人たる基準があくまでも観念的なものに過ぎないのなら、その観念(目に見えない)を補強する底の部分は、こういう子どもじみた項目の積み重ねなんじゃないかしら、と私は思う。踊っても踊っても上手くなった気がしなかった時代(クラブに所属していた頃)を思い出した。ある日突然「成長したな。」と思える瞬間が来るように、私はこの人の横でこうしてひとつずつ何かをクリアしていくうちに、彼が驚くような大人の女性にいつの間にかなるのだろうか。シングルモルトウィスキーのチェーサーを水ではなくシェリーにする彼が既に大人だとするなら、成熟した私は何を飲むようになるのじゃろうか、と、想像してもわかるわけはないし、酒の種類で大人かどうかは計れないけど。

ただ、「いつか大人になる」の"いつか"は、もう少し先のようで。風呂場で歯を磨く人の真似をしたものの、水のみコップを洗面器と間違えて湯船に入れたり、次は逆で、水のみコップと間違えて洗面器にカランから水を注いでしまった。そんな呆れた顔をしないで、ダーリン、とモチ肌に抱きつきたくなったところで本日は終了。就寝。

------------------------------------------------------------------

映画の備忘。

●『オリバー・ツイスト』(ロマン・ポランスキー監督 2006年)

本年度アカデミー賞最有力、ということだが。よくわからなかった、というのが正直な感想。

いかにも冒険、と言いたげなオープニングテーマの割りに、最後までいまいち能動的になりきれない主人公。それを私は「起伏に乏しい」と判断したが、連れいわく「10歳の男の子があんな状況でも気丈にしているのだから、それだけでスゴイ。」とのこと。なるほど、言われてみればその通りだ。

リアリズムについて考えさせられた。私は、いかにもな「出会い〜恋愛の成就」をテーマにしたラブストーリーが好きだけど、それと同じくらい、「結局、現実はそううまくいかないよね。」と主人公が悟るような作品も好き。そして、ベタベタな展開が嵐のように起こるより、何も起きなくても主人公の心情を推し量れるようなシーンを丁寧に描いた作品が好き。リアリズムを追求しまくったとして、はたしてそれは真のエンターテインメントたりえるのだろうか。そこらへんの匙加減は監督に委ねるべきだし、だからこそ、映画は観る人を選ぶのだと思う。

監督がこの作品を通して何が一番言いたかったのか、そこは考えないとわからなそうだ。ただ、何も考えずに楽しめるお手軽なエンターテインメントが氾濫していることを嘆く人がいるわけだし、このような、こちらから積極的に意味を見出さなくてはいけない作品も必要だろうな、と思う。

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

この日記について

日記内を検索