りんの日本脱出記 〜ローマの平日編〜
12時前に眠れることの素晴らしさよ。と、感動しながら就寝→起床。

何しろ、こちらに着いてからはパソコンもいじれないし携帯もいじれないしで、普段どれだけ自分が詮無いことに時間を費やしているかがわかった。時差ボケで具合が悪くなっている人も多いが、私はこちらに来てからむしろ健康になるのではないか、という気がしている。

一日の始まりに際して何らかの事件が起こるのが今回の旅のウリだが、本日はミキティのポケットがつぶれて中がチョコレートまみれになるという、昨日の「アクア事件」に引き続き、「ショコラ事件」発生。チョコ臭くなりながらも、昨日のうちに買っておいた切符を使って、バスに乗車。まずは、カトリックの総本山・ヴァチカンへ。

世界最大級のヴァチカン博物館は、教皇領内で発掘された美術品や、歴代の教皇が海外流出を防ぐために収集した作品を収め、館内は27の美術館、博物館から成る。とても半日では見きれないので、有名なもの(彫刻『ラオコーン』、絵画『アテネの学堂』、壁画『最後の審判』など)に狙いを定め、駆け足で。

ミキティとまゆげは過去に一度イタリアに来ており、今回は再訪だという。一体なぜそんなにイタリアへ?と思うも、彼女たちは教会美術にものすごい興味を抱いており、何度見ても素晴らしいとのこと。目玉たるシスティーナ礼拝堂には、ミケランジェロの大作、『最後の審判』が。思わず涙を流しそうな勢いの二人を横目に、割と冷静な自分。昨日のポンペイでも思ったが、私という人間はものすごく情熱的なわりに、ある部分で異様に冷静だということを再確認する。私の中には、自分でも境界を引ききれていない温度差の濃淡がある。

博物館を出て、お次は、サン・ピエトロ大聖堂へ。聖ペテロの殉教地に建てられたのでこの名前がついたそうな。この時点で既に正午をとっくに回っていたのだが、小食(というか、多分、食に対する興味が薄い)の三名はお昼を食べることより、より多くの時間を美術鑑賞に費やしたいという勢いで、「おなか空いた!」とはとても言えない雰囲気。ひもじさと闘いつつ、聖堂内へ。ローマ市内を一望できるという聖堂の屋上へ向かうため、これでもか!というほどに長〜い階段を上る。とても肉体派とはいえないQooを励ましつつ、なんとか最上階へ。日本では決して見られない景観には、ちょっぴり感動。

その後、ようやく昼食。セルフサービスのカフェは、「questo(コレ)」と指さすだけで給仕してもらえるので、便利。イタリアの人はどうやら本当にオリーブが好きなようで、どの惣菜にもオリーブの実が入っており、風味もオリーブオイル仕様。トマトもふんだんに使われており、偏食家の三名(特にミキティ)にはなかなか辛いようだ。本日も残飯処理班として稼働する我。

その後、サンタンジェロ城を横目に徒歩でテヴェレ川を渡り、古代ローマの競技場跡・ナヴォーナ広場へ。と、ここで、またしても事件発生。

Qooのマフラーが無い!!

さっきのカフェではずしているのを見たのは間違いないから、あるとしたらあそこだ、と、慌てて引っ返す。戻ると、にこにこしながら待っていたイタリア人たちが祝福してくれた。イタリアでは、たとえばバス内に荷物を忘れても「そんなものは無かった。」と言われるのが常らしく、見つかることは稀だそうで。陽気なイタリア人と共に「グラツィエー(ありがとう)!!」、「プレーゴ(どういたしまして)!!」とひとしきりはしゃいだ後、店を後にする。

イタリア人は陽気だと聞いてはいたが、それは偏見でなく事実のようだ。ということが、今回ようやくわかった。温暖な地中海性気候の中で育つと皆そうなるのだろうか。そして、彼らはなべて女性に優しい。レディ・ファーストが徹底されている。紳士でありつつ陽気で人なつっこいなんて、まさに理想的じゃないか。と思いつつも、どうにも腑に落ちない気が致すワタクシ。彫りが深くて美しい顔立ちの彼らは格好良いけど、どうやら私は骨の髄まで古風な日本人男性好みらしい。それについてQooに意見を求めたら、「なるほどねー。わかるわ。でもね、私は、とりあえず試したいな、とは思うね。ラテン系とはまだ一度も手合わせしたことが無いから。」という衝撃の答えが返ってきたことが印象的だったローマの午後。

その後、『ローマの休日』で有名なスペイン広場の大階段を見上げたり、トレヴィの泉に後ろ向きでコインを投げ入れたり、と、いかにもなことに興じてみた。泉にコインを投げると再びローマに来ることができる、とのことだが、それは無いような気がしている。ローマが嫌いというわけではないが、私が本当に行きたい国はここではないと思ったから。もし「どこでも行ける。」と次に言われたら、私は、ウズベキスタンの世界一空が青いと言われる街に行きたい。もしくはモンゴルの大平原を見てみたい。もしくはアフリカのサバンナで風に吹かれたい。もしくはオーストラリアの広大な自然に触れてみたい。

夕飯は簡単に済ませようということで(いつも簡単な気がしなくもないが)、bar(バール)にて。イタリアのどこにでもあるbarでは、カッフェ、カッフェ・マッキャート、カップッチーノが飲める。カフェでバイトする私としては本場のエスプレッソを飲まないわけにはいかん、と思い、一番シンプルなカッフェをオーダー。案外、フツウ。甘党の女のコでなくとも、砂糖をまったく入れずに飲み干すのはなかなか辛いのかもしれない。

何はともあれ、初の自由行動@ローマはつつがなく終了。よかった。

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