本日も(空腹ながら)爽やかに起床。やはり早めに寝ると気持ちが良い。

天気は回復傾向のようだ。バターロールとコーンフレークだけ、という味気ない朝食の後、小都市・ヴェローナを経由し、大都会・ミラノへ。

蛇行するアディジェ川のほとりに広がるヴェローナは、ローマ帝国の植民地として築かれ、あの『ロミオとジュリエット』の舞台として知られる。ヒロイン・ジュリエットのモデルとされたカプレーティ家の娘の家は一般に公開されているそうで、楽しみなのか楽しみじゃないのかよくわからないが、そこそこの期待にとどめておいた方が良いとの噂である。

中世っぽい町並みを想像していたヴェローナだが、実際は、代官山や表参道を彷彿とさせる若者受けしそうな雰囲気。愛をテーマにした作品を生んだ街ということで、ハートのモチーフが多い。そして、案の定だが、ジュリエットの家はフツウであった。前庭にちんまりと建てられたジュリエット像のおっぱいを触ると幸せになるとのことで、必要以上に触っておいた。以前もここを訪れたというミキティによると、ある男がジュリエットの後ろから両手で胸を揉みしだく行為をしていたそうで、おっぱい好きは万国共通なのね、という見解を抱きつつ、目的(おっぱいを触る)を果たしたのでヴェローナを後に。

イタリア国内有数の産業都市であるミラノは、毎年のミラノコレクションが注目を集める流行発信地としても名高い。14世紀末から栄えたミラノ公国は芸術を振興したようで、レオナルド・ダ・ヴィンチが『最後の晩餐』を残したことで有名だ。が、『最後の晩餐』があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会は、予約が必要ということもあり、今回はスルー。

ここに来てメンバーの趣味の違いがいよいよ明らかにされてきたので、初の別行動をとることとなった。というのも、絶景好きの私はドゥオーモの屋上からミラノの全景を見たいと思うし、現地の人とつたないイタリア語で交渉しながら街を練り歩くのが好きなのだ。一方、以前もミラノに来ているまゆげとミキティにとっては、もう一度ドゥオーモに上る時間をブレラ絵画館(ロンバルディア派の優れたコレクションを誇る)散策と、スフォルチェスコ城で『ロンダニーニのピエタ』を見ることに使いたいようで、揉めるくらいならいっそのこと違う行動を取った方がいい、との結論に。寂しい気もするが、ツアーを離れてたった一人でミラノの街を自由に(←ここポイント。ようやく一人の時間が持てるのだ。)歩ける、というのは楽しみである。

…と思っていたら、Qooは美術鑑賞よりも私派だったようで、3:1ではなく、2:2に分かれることに。お一人様だろうがお二人様だろうが、楽しみなことには変わりない。

イタリアを訪れたことのある友人から「りんはミラノが気に入ると思うよ。」と言われていたので予想はしていたが、ミラノは私の趣味に合っている。理由はよくわからないが、都会なのに手で触れることのできる絶妙な距離感と街のスケールのせいではないかと思われる。ミラノのドゥオーモの細かすぎる彫刻たちを見て「すごーい。」と言ったり、老舗食料品店『ペック』にて祖父・祖母へのお土産を買ったり、ミラノ一のデパート『ラ・リナシェンテ』にて互いの恋人へのお土産をチョイスし合ったりと、ミラネーゼらしいショッピングに興じる。そういえば、ショッピングにこんなに時間をかけたのは旅行が始まって以来、初めてのことだ。

再び落ち合おうと約束していたスフォルツェスコ城前にて。

ちょっと電話してくる、というQooを待ちながら、噴水の前で目を閉じて、一人、日本に思いを馳せる。その思いが惹きつけたのか、目を開けると、日本人男性がはにかみながら立っていた。どうやら同じ大学四年生で、同じようにパックツアーに参加しており、自由行動中とのこと。あまり気を遣っていないと思われる服装と太い鼻毛がはみ出していることは気になったが、とりあえず愛想良く対応していると、不機嫌そうな面持ちでQooが戻ってきた。ほとんど口を開こうとしないQooと日本人男性クンの仲裁役に奮闘後、まゆげとミキティがようやく現れたので、その場を後にする。

「海外だからって浮かれちゃ駄目!」「あの人、絶対ヘン!」「私、変な人を見抜くのが得意なの!」と鼻息を荒くするQooに叱られながら、じゃああの人が超絶美形のイケメン君だったらどうだったの、という思いに駆られた。セキュリティ上の問題からいえば私の対応は不適切だったかもしれないが、もし日本でも適応される問題を前提としてQooが私を非難したのなら、それについては眉をしかめたい。「思っていいけど、言っちゃ駄目。」という中学時代の恩師の言葉を思い出した。思っていいけど言っちゃ駄目。そして、思っていいけど態度に出しては駄目。それは私の生きる道を照らすほどの大きな価値観である。そして、目に映る部分だけでは到底わからないものを人は確実に秘めている、ということも。

夕飯は、私の願いが叶い、ミラノらしい小洒落た(その割にお手頃価格)レストランにて、ミラノ風リゾットと、ミラノ風仔牛のカツレツを。コンソメで煮込みバターとサフランで味付けされたライスに、たっぷりのパルメザンチーズをかけて。本当はイタリア名物のワインを注文したかったけど、私以外の三人はワインをあまり得意としないので、今回は遠慮。ミキティが注文したものの食べきれなかったイカ墨のリゾットも分けてもらい、幸せな気分でホテルへ。

明日はいよいよイタリアに別れを告げ、フランス・パリへ飛ぶ。

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