別離

2006年3月24日
卒業式を明日に控え、最後の身辺整理。

大量の服をいただいたのを契機に、まずは洋服ダンスから。タンスを整理するのはもちろん初めてじゃないけど、整理の度に「もう着ないんだけど、捨てるのはちょっと…。」という服が出るわ出るわで私を悩ませていた。が、今日は違う。今捨てなかったらいつ捨てるのだ!? と思われたので、満を持してポイ。あ、ポイ、ポイ。

ラインストーンがびっしり付いた超ハデハデのデニムや、肩ががばっと開いたラメニットや、チラリズムなんてもんじゃない位に短いマイクロミニや、ジャラジャラがいやっちゅう程ぶら下がったベルトなどが、奥の方からうじゃうじゃ出てくる。うーむ、若かったんだなあ。と、思わず苦笑。あ、ポイ、ポイ。

洋服ダンスの次は、雑貨の詰まったクローゼットを。

吹奏楽部時代に後輩からもらった手紙、約10年分の年賀状、サークル時代の衣装…

と、ここまではまだいい。

性に目覚めた頃の証拠品、中学〜高校までのプリクラ帳、バンドを追っかけてた頃の切り抜き、ファン同士で送り合った手紙(ライブネーム入り)、ライブ録音のテープ、ラジオ番組を山ほど録りだめしたテープ、昔書いた小説、雑誌に投稿してた頃のイラスト、スクリーントーン、好きだったアニメのグッズ、などなど、「ぎゃああああああ!!!!」と叫びながら国外逃亡したくなるような品々が、ジャーンと過去から飛び出してきた。

ポイする前に、すべてに目を通す(笑)。

驚くべきことに、それらが生活の大部分を占めていた頃の記憶が、かなりの確率で失われている。起きている間の85%位は好きなギタリストのことを考えていたのに、「ああ、こんな雑誌に載ってたっけねえ…。」という程度の認識。そして、明け方までかかって描きまくっていたイラストも、自分じゃない他人が描いたように見える。なんだ、私、結構ウマイじゃない、など、すっかり忘れてた特技(?)を思い出したり。

もう一度繰り返すが、それらが生活の大部分を占めていた頃の記憶が、かなりの確率で失われている。

一生続くとは思ってなかったけど、それでも永遠のように感じられた当時。私はあるバンドがずっと好きだと思ってたし、当時のライブネームもずっと使うと思ってたし、当時仲良くしてたファンの友人たちともずっと親しいと思ってたし、将来はイラストを描く職業に就きたいと思ってたし、誰かに自分の書いた文章を読んで欲しいと思ってたし、すべてがものすごく重要なことだった。あのバンドのことを考える時間、イラストや小説のことを考える時間、好きな人のことを考える時間、それらが欠ける生活がまったく想像できなかった。本当に、これっぽっちも。三度の食事と同じくらい、すべてが私にとって必要で自然なことだった。

以前、母に「高校時代、どんなことを考えてた?」と聞いたら、「あんまり覚えてないのよねえ…。」という答えが返ってきて、現役高校生の私には衝撃だった。こんなに充実してて、悩んだり、喜んだり、驚いたりしてることを、人は忘れるのだろうか、と。

今ならわかる。人は忘れる。

23歳の私が、今(まさに今)、とても大切にしてるすべてのことも、大学を卒業して、仕事を始めて、目の前の業務に手一杯になっているうちに、どんどん思い出せなくなっていくのだろう。尊い、好きだ、大切だ、楽しい、嬉しい、悲しい、嫌いだ、怖い、などなど、必ずしも前向きな感情ばかりが浮かぶ毎日ではないけど、人が(というより、私が)日記をつけたいと思った最初の思いつきに、今日、改めて共感し直した。

明日、卒業します。

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