たくさんの灯がなつかしいのは
2006年5月2日先輩の下でちょこまかと働く火曜日。
配属二日目の本日、名刺を持っていざ出発。荷物が多いゆえタクシー×2で取引先へ。「私の後を付いて来てね。」と言った先輩の乗った車が消え、大都会東京に取り残される新人OL×1。「あのう…どちらに伺えば…?」と言われても、私だってわからない。「えーとえーとえーと、とりあえず外苑前の交差点までお願いします!」「へい。」「そ、そ、それでですね、えーと、えーと、永田町方面へ向かってください!」「わかりやしたあ。」と、昭文社の文庫版『東京都市図』フル活用。ひー。
本日は、新卒一同の歓迎会。
ビールではなくワイン、というあたりに我が社の(オシャレに対する)こだわりが感じられる。上司の方々に「如何ですか?」とお酌したり、陽気な社長に笑わされたり。「りんちゃん、落ち着いてるねー。」「ありがとうございます。」「みんな言ってるよ。」「これは私たちの予想なんだけど、ものすごーーーーく年上の彼氏がいるでしょ?」「いえいえ(ものすごーーーーくって程ではないな)。」「本当に23歳?」「本当ですよ!」などと話していたら、早速、年齢詐称疑惑が持ち上がる(がくっ)。
空きっ腹に大量のワインを投入したため、久しぶりに足元がやや覚束なくなるほど酩酊→ケータイを電車内で紛失。
「無くした!」と気付いた瞬間酔いは醒め、JRに問い合わせ。「ケータイ無くしました!!」「ピンポンパーン♪本日の業務は終了いたしました。」「ひー(機械に向かって喋っちゃったよー)!」と、配属早々、踏んだり蹴ったりだ。自宅以外で唯一覚えてる番号の主に無くした旨をご連絡、と思ったものの、深夜だというのに音沙汰無し。
なかなか連絡が取れないマイ・ラヴァーとJRに教わったこと。
私にとってはたったひとつの携帯でも、大量の落とし物のひとつひとつをその特徴から発見場所やらまでデータに落としている人がいる。私が楽しくお酒を飲んでいる間も、地下鉄は滞りなく走り、街のネオンは光り、信号は点滅し、落とし物の情報は打ち込まれ、マイ・ラヴァーの勤める会社の灯は点り続ける。
日本がどんどん豊かになるということは、つまり、選択肢が増えるということ。たとえば、お茶を飲みたいと思ってコンビニに行けば、緑茶からウーロン茶からジャスミン茶まで大量に揃えてある中から選ぶことができる。それは、一見嬉しいこと。嬉しい消費者がたくさん生まれるということは、必ず、その分、どこかに「余剰」のしわ寄せがきているということ。豊か過ぎる日本は、その"豊か度"とピッタリ等しい「余剰」を抱え、本来は普通にゴハンを食べ普通の時刻に眠るはずの誰かの時間を奪う。
そして何より重要なのは、「余剰」の中で働く誰かが必ずしも「スゴイね!」と言われるような仕事をしているとは限らない、ということか。就職活動をしていた頃は漠然としていた「働くということ」が少しずつ明らかになってきた今、ようやくわかったことがある。「働く」とは、自分の長所を生かして何かを創造すること? そういうときもあるだろう。しかし、今の私は敢えて言う。「働く」とは、持ち主不明の携帯をその色から機種名からストラップの有無に至るまで羅列しPCに打ち込むことだ。
ふと思い立って、井上あずみを聴く。
あの地平線 輝くのは
どこかに君をかくしているから
たくさんの灯がなつかしいのは
あのどれかひとつに、君がいるから
(『天空の城ラピュタ・サウンドトラック-飛行石の謎-』より。)
配属二日目の本日、名刺を持っていざ出発。荷物が多いゆえタクシー×2で取引先へ。「私の後を付いて来てね。」と言った先輩の乗った車が消え、大都会東京に取り残される新人OL×1。「あのう…どちらに伺えば…?」と言われても、私だってわからない。「えーとえーとえーと、とりあえず外苑前の交差点までお願いします!」「へい。」「そ、そ、それでですね、えーと、えーと、永田町方面へ向かってください!」「わかりやしたあ。」と、昭文社の文庫版『東京都市図』フル活用。ひー。
本日は、新卒一同の歓迎会。
ビールではなくワイン、というあたりに我が社の(オシャレに対する)こだわりが感じられる。上司の方々に「如何ですか?」とお酌したり、陽気な社長に笑わされたり。「りんちゃん、落ち着いてるねー。」「ありがとうございます。」「みんな言ってるよ。」「これは私たちの予想なんだけど、ものすごーーーーく年上の彼氏がいるでしょ?」「いえいえ(ものすごーーーーくって程ではないな)。」「本当に23歳?」「本当ですよ!」などと話していたら、早速、年齢詐称疑惑が持ち上がる(がくっ)。
空きっ腹に大量のワインを投入したため、久しぶりに足元がやや覚束なくなるほど酩酊→ケータイを電車内で紛失。
「無くした!」と気付いた瞬間酔いは醒め、JRに問い合わせ。「ケータイ無くしました!!」「ピンポンパーン♪本日の業務は終了いたしました。」「ひー(機械に向かって喋っちゃったよー)!」と、配属早々、踏んだり蹴ったりだ。自宅以外で唯一覚えてる番号の主に無くした旨をご連絡、と思ったものの、深夜だというのに音沙汰無し。
なかなか連絡が取れないマイ・ラヴァーとJRに教わったこと。
私にとってはたったひとつの携帯でも、大量の落とし物のひとつひとつをその特徴から発見場所やらまでデータに落としている人がいる。私が楽しくお酒を飲んでいる間も、地下鉄は滞りなく走り、街のネオンは光り、信号は点滅し、落とし物の情報は打ち込まれ、マイ・ラヴァーの勤める会社の灯は点り続ける。
日本がどんどん豊かになるということは、つまり、選択肢が増えるということ。たとえば、お茶を飲みたいと思ってコンビニに行けば、緑茶からウーロン茶からジャスミン茶まで大量に揃えてある中から選ぶことができる。それは、一見嬉しいこと。嬉しい消費者がたくさん生まれるということは、必ず、その分、どこかに「余剰」のしわ寄せがきているということ。豊か過ぎる日本は、その"豊か度"とピッタリ等しい「余剰」を抱え、本来は普通にゴハンを食べ普通の時刻に眠るはずの誰かの時間を奪う。
そして何より重要なのは、「余剰」の中で働く誰かが必ずしも「スゴイね!」と言われるような仕事をしているとは限らない、ということか。就職活動をしていた頃は漠然としていた「働くということ」が少しずつ明らかになってきた今、ようやくわかったことがある。「働く」とは、自分の長所を生かして何かを創造すること? そういうときもあるだろう。しかし、今の私は敢えて言う。「働く」とは、持ち主不明の携帯をその色から機種名からストラップの有無に至るまで羅列しPCに打ち込むことだ。
ふと思い立って、井上あずみを聴く。
あの地平線 輝くのは
どこかに君をかくしているから
たくさんの灯がなつかしいのは
あのどれかひとつに、君がいるから
(『天空の城ラピュタ・サウンドトラック-飛行石の謎-』より。)
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