Can I Celebrate?

2006年7月29日
買ったばかりの服・マニキュア・グロスで身を飾り、染めたばかりの髪を梳って家を出た。

二ヶ月振りに会うマイ・ラヴァー。たかが二ヶ月。されど二ヶ月。外回り中に何度も走った外堀通りを二人で行く。時刻は午後七時。御茶ノ水、飯田橋、市ヶ谷、四ッ谷、このあたりの開けた風景が私は好きで、特に飯田橋と市ヶ谷を結ぶ外濠沿いには何か深い思い入れがある。思い入れはあるが思い出はない。一緒にこの道を歩くのは初めてじゃないけど、こうして何度か歩くことで、大好きな外濠の存在価値がさらに高まる日が来るのでは、と。湿気が多いのか、壕の反対の岸は少し煙ってた。

九段北を横切って靖国通りへ折れる途中。

一緒に歩くと周りを見ない私は左折するタクシーに気付かなかった。さして身長の変わらない彼が私を引き寄せたとき肩に肩がコツンとぶつかって、ああ危なかったね、という感想しか私にはなかったけど、私たちの前を通り過ぎていった車の後部座席の女性(40歳くらい?)がこちらを見ていたという。

彼と出会い、隣に立つことに慣れ、一緒に歩くことに慣れ。私はすっかり忘れてたけど、そういえばこの人はこういう人だった。私を守るどころかどんどん先を行ってしまう人の後ろをちょこまか追いかけていた頃、今の彼に出会い、ある話を聞いた。道を一緒に歩くとき女のコをどう守るか、という話だ。当時の恋人に不信感を抱き始めていた私は「こんな人の彼女だったら幸せだろうな。」と本気で思ったものだが、数奇な運命の果てにこうして隣を歩くことになった。「女のコがこうなったときには…」と語っていたマイ・ラヴァーにとっての"女のコ"が今の自分だということがふと判明した今夜、プレイバックしてもう一度、私を轢きそうになったタクシーの中から、私と私を引き寄せる彼を客観的に見たかった。

深夜12時過ぎ、高いところ(場所は秘密)から夜景を見る。

つい反っくり返ったら、宝石箱みたいな街が逆さまに見えた。雲が多い今夜は星が見えなくて残念だけど、夏の風が頬と半袖の腕に心地よい。東京の中心で反っくり返ったら、右目にはサンシャイン、左目には六本木ヒルズらしきものが映り、遙か下からは喧噪と車の音が聞こえた。それ以外は、空、空、空。目を瞑ったら空さえ消えて、私は五感のひとつを失い、残った四感を研ぎ澄ませた。そして二ヶ月分を精算する。

その後。

「りんに"数独"を教えてあげる。」と言う彼と並んで寝ころんで、パズルを解く。2005年にイギリスでブームになったこのペンシルパズルは、3×3のブロックに区切られた9×9の正方形の枠内に1〜9までの数字を入れるという、いたってシンプルなルール。ともに最高学府を立派な成績で(?)卒業した二名が、うーんうーん、と頭を付き合わせて、「わかった!」「えっ!?」「なんだ簡単だな。」「ここからはどうするの?」「あ、全然簡単じゃない…。」「でも、これ、初級編だよね?」と言い合いながら問題と格闘。

何もなくていい。仮に何か与えられるなら、こんなシンプルなパズルでいい。

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