ホンジツハ セイテン ナリ
2006年7月30日
仕事の夢ばかり見ていたら「寝顔が変だ」と笑われた日曜日。
交渉した挙げ句に入れてもらったマイ・ラヴァー’s room。ノーメンテナンスの数ヶ月を経てとてもレディを入れられる状況じゃない、とゴネた彼。彼が本格的に忙しくなる以前、少し片付けるからコンビニで待ってて、と何度も置き去りにされたことがある(昨夜もそうだ)。ひとつ言えるのは、私は散らかったこの部屋が嫌いじゃない、ということ。
部屋をぐるりと見回して。
ひとり暮らしの部屋にしては多すぎる本棚、それだけあるのに収まりきらない本、積み上げられてできたCDのタワー、空いた缶ビール、新聞と雑誌の山、その山の上にふぁさふぁさと被さる洗濯物、常に開きっぱなしのクローゼット、蹴躓くとパタパタと倒れるペットボトルたち、液晶が埃を帯びたノートパソコン、履いたのか履いてないのかわからない靴下、使ったのか使ってないのかわからないタオル、物が多すぎて三分の一しか開かない居間と廊下を繋ぐ扉、いちいち物をどかさないと寝ることさえできないベッド。唯一の居場所と化したそのベッドの上で私は思う。やっぱりこの部屋嫌いじゃない。
ベッドの上で壁にもたれて、本棚に詰まった本のラベルを左から右へ、上から下へ、ゆっくり眺めた。タイトルのすべてが家主の彼を構成する要素。仕事を終え、帰宅して、ここに座って、あの本を読んで、あのCDをかけて、床に転がるペットボトルのひとつに口をつけ、あそこに服を脱いだのかな、と想像が具体的になる。自分で「俺はこういう人間だよ」と語らない彼のすべてがここにある。整理されてないこの部屋は、真理を記号的に片付けることを嫌う彼そのものを表しているようで、もはや言い訳できないレベルの証拠ともいえる。彼の部屋と心を見ることができるのは私だけ。
とはいえ。
洗面所の棚の一部を分けてもらい、私は化粧品とコンタクトの洗浄保存液を置く。口をすすぐコップの中に私のピンクの歯ブラシが一本。風呂場を覗けば、私の持ち込んだクレンジングオイルもある。私が少しだけ浸食した彼のスペース。彼の心に占める私の割合は、はたしていかほどか。帰り際、いつも少しだけせつなくて、わざと残していきたいものがある。せめて香りだけでも残らないものかと私は料理をしたり、そのほかにも色々なところに仕掛けを残す。これみよがしではない(と信じてる)その仕掛けは、目には見えないから、彼のスペースを浸食しない。そんな風にさりげなく彼の心にも形跡を残せれば、と思う。
近所のイタリアンレストランでランチを食べ、その後、彼は部屋の大掃除、私は電車に乗って自宅へ。
いい天気。
「6月9日が梅雨入りで、今日が梅雨明け。」と言った私に、「ベタな比喩をするなよ…。」という彼のツッコミ。彼に最後に会ったのが6月9日で、再会したのが昨日。会えると思ったら延期になり、終わると思ったら梅雨も長引いた。たまたまだ。もしたまたまじゃないなら、これからしばらくは晴れる日が続くのかな。台風がきても、その後には台風一過があるし、と信じてやっていくつもり。これは正真正銘、ベタな比喩です。
交渉した挙げ句に入れてもらったマイ・ラヴァー’s room。ノーメンテナンスの数ヶ月を経てとてもレディを入れられる状況じゃない、とゴネた彼。彼が本格的に忙しくなる以前、少し片付けるからコンビニで待ってて、と何度も置き去りにされたことがある(昨夜もそうだ)。ひとつ言えるのは、私は散らかったこの部屋が嫌いじゃない、ということ。
部屋をぐるりと見回して。
ひとり暮らしの部屋にしては多すぎる本棚、それだけあるのに収まりきらない本、積み上げられてできたCDのタワー、空いた缶ビール、新聞と雑誌の山、その山の上にふぁさふぁさと被さる洗濯物、常に開きっぱなしのクローゼット、蹴躓くとパタパタと倒れるペットボトルたち、液晶が埃を帯びたノートパソコン、履いたのか履いてないのかわからない靴下、使ったのか使ってないのかわからないタオル、物が多すぎて三分の一しか開かない居間と廊下を繋ぐ扉、いちいち物をどかさないと寝ることさえできないベッド。唯一の居場所と化したそのベッドの上で私は思う。やっぱりこの部屋嫌いじゃない。
ベッドの上で壁にもたれて、本棚に詰まった本のラベルを左から右へ、上から下へ、ゆっくり眺めた。タイトルのすべてが家主の彼を構成する要素。仕事を終え、帰宅して、ここに座って、あの本を読んで、あのCDをかけて、床に転がるペットボトルのひとつに口をつけ、あそこに服を脱いだのかな、と想像が具体的になる。自分で「俺はこういう人間だよ」と語らない彼のすべてがここにある。整理されてないこの部屋は、真理を記号的に片付けることを嫌う彼そのものを表しているようで、もはや言い訳できないレベルの証拠ともいえる。彼の部屋と心を見ることができるのは私だけ。
とはいえ。
洗面所の棚の一部を分けてもらい、私は化粧品とコンタクトの洗浄保存液を置く。口をすすぐコップの中に私のピンクの歯ブラシが一本。風呂場を覗けば、私の持ち込んだクレンジングオイルもある。私が少しだけ浸食した彼のスペース。彼の心に占める私の割合は、はたしていかほどか。帰り際、いつも少しだけせつなくて、わざと残していきたいものがある。せめて香りだけでも残らないものかと私は料理をしたり、そのほかにも色々なところに仕掛けを残す。これみよがしではない(と信じてる)その仕掛けは、目には見えないから、彼のスペースを浸食しない。そんな風にさりげなく彼の心にも形跡を残せれば、と思う。
近所のイタリアンレストランでランチを食べ、その後、彼は部屋の大掃除、私は電車に乗って自宅へ。
いい天気。
「6月9日が梅雨入りで、今日が梅雨明け。」と言った私に、「ベタな比喩をするなよ…。」という彼のツッコミ。彼に最後に会ったのが6月9日で、再会したのが昨日。会えると思ったら延期になり、終わると思ったら梅雨も長引いた。たまたまだ。もしたまたまじゃないなら、これからしばらくは晴れる日が続くのかな。台風がきても、その後には台風一過があるし、と信じてやっていくつもり。これは正真正銘、ベタな比喩です。
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