秘書の戯れ言 vol.2
2006年8月18日秘書室(という名のデッドスペース)にて平川克美の『反戦略的ビジネスのすすめ』をこっそり読む。
同書にはビジネスを成功させるための参考になるようなノウハウも要諦も書かれていない(と、著者・平川さんはおっしゃっています)し、もし社長が目次の「ビジネス書はつまらない」「会社は売れても組織は売れない」「人はなぜ働くのか」という項目をご覧になったら、キサマ心の奥で何を考えてるんだうちの会社になんか不満あんのか、という誤解(というか正解)を招きそうだ。というより、いくら休憩中とはいえ、職場で堂々と読書をするのはあまり褒められる行為じゃなさそうなので、物陰でこっそり読むのです。
ビジネスの本質はどこにあるのか、働くとはなにか、たとえ正解がどこかにあるとしてもないとしても、自分の中ではせめて「これだ!」と言えるようなちっぽけな何かさえ、入社して未だ半年未満の私には到底存在しないのですが、今日は、秘書の私が付いている専務(仮にKさんとしよう)の話。
秘書になって一日目、「これを整理していただけますか?」「かしこまりました。」というやり取りの後に手渡された書類は、専務が現在指揮する事業部の重要書類で、我が社がなぜその事業部設立に踏み切ったか、もっといえばなぜ社長が同事業を含むすべてを始めようと思い立ったのか、そこ(核心)に触れるといっても過言じゃない書類。それらをちまちまと校正してファイリングするだけの作業。
上司が部下に仕事を任せるとき、そこには何かしらの意図がある気がします。重要書類をただ整理するだけなのか、そこから何かを読み取るのか、Kさんは私を試していたような気がします。続々依頼される仕事のなかには、単にそれを片付けたいというほかに、今後自分の専属秘書になる私の力を見る意図もあるでしょう。さらに、部下に任せることで発生するリスクだけは認識済みで完璧に次善策を講じているのが、できるようでなかなかできないことなんじゃないかな、と、新入社員の私でさえ、「想定の範囲内の出来事ですよ。」と言われた瞬間は感嘆したものです。
口数のあまり多くないKさんが「りんさん、今日は元気がないですね。」と、ピンポイントで指摘してくる日は、まず確実に、何かがあったとき。職場でプライベートな話をするのは控えるべきだ(と思う)し、私は「え、ええっ!?そう見えますか?」と言葉を濁すけど、ほかの上司のように「何かあったの?」「飲んで話すか!」などと言わないKさんは、自分の恩師の話を交えて普遍的な真理を語る。自分の具体的な悩みを普遍的概念の型にはめられるのを嫌う私だけど、上司と部下というほぼ確実に上から下を見ることになってしまう状況で、若い私を諭すでもなくやわらかく見守る(しかも多くを聞き出してないのに当たっている)Kさんの姿勢の前では素直になれる気がします。
ビジネスがなんだという問題は保留中ですが、せめて秘書でいる間はこの方の下でいっぱい色々なことを吸収しよう、という健康的な意欲はあります。
同書にはビジネスを成功させるための参考になるようなノウハウも要諦も書かれていない(と、著者・平川さんはおっしゃっています)し、もし社長が目次の「ビジネス書はつまらない」「会社は売れても組織は売れない」「人はなぜ働くのか」という項目をご覧になったら、キサマ心の奥で何を考えてるんだうちの会社になんか不満あんのか、という誤解(というか正解)を招きそうだ。というより、いくら休憩中とはいえ、職場で堂々と読書をするのはあまり褒められる行為じゃなさそうなので、物陰でこっそり読むのです。
ビジネスの本質はどこにあるのか、働くとはなにか、たとえ正解がどこかにあるとしてもないとしても、自分の中ではせめて「これだ!」と言えるようなちっぽけな何かさえ、入社して未だ半年未満の私には到底存在しないのですが、今日は、秘書の私が付いている専務(仮にKさんとしよう)の話。
秘書になって一日目、「これを整理していただけますか?」「かしこまりました。」というやり取りの後に手渡された書類は、専務が現在指揮する事業部の重要書類で、我が社がなぜその事業部設立に踏み切ったか、もっといえばなぜ社長が同事業を含むすべてを始めようと思い立ったのか、そこ(核心)に触れるといっても過言じゃない書類。それらをちまちまと校正してファイリングするだけの作業。
上司が部下に仕事を任せるとき、そこには何かしらの意図がある気がします。重要書類をただ整理するだけなのか、そこから何かを読み取るのか、Kさんは私を試していたような気がします。続々依頼される仕事のなかには、単にそれを片付けたいというほかに、今後自分の専属秘書になる私の力を見る意図もあるでしょう。さらに、部下に任せることで発生するリスクだけは認識済みで完璧に次善策を講じているのが、できるようでなかなかできないことなんじゃないかな、と、新入社員の私でさえ、「想定の範囲内の出来事ですよ。」と言われた瞬間は感嘆したものです。
口数のあまり多くないKさんが「りんさん、今日は元気がないですね。」と、ピンポイントで指摘してくる日は、まず確実に、何かがあったとき。職場でプライベートな話をするのは控えるべきだ(と思う)し、私は「え、ええっ!?そう見えますか?」と言葉を濁すけど、ほかの上司のように「何かあったの?」「飲んで話すか!」などと言わないKさんは、自分の恩師の話を交えて普遍的な真理を語る。自分の具体的な悩みを普遍的概念の型にはめられるのを嫌う私だけど、上司と部下というほぼ確実に上から下を見ることになってしまう状況で、若い私を諭すでもなくやわらかく見守る(しかも多くを聞き出してないのに当たっている)Kさんの姿勢の前では素直になれる気がします。
ビジネスがなんだという問題は保留中ですが、せめて秘書でいる間はこの方の下でいっぱい色々なことを吸収しよう、という健康的な意欲はあります。
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