華
2006年8月25日
職場近くの花屋にて。
私の母親は本当に花が好きで、特に切り花より鉢植えや観葉植物を好む人です。リビングには主に蘭、シンビジウム、オンシジウム、ファレノプシス、カトレア、デンファレ。階段にはアンスリウム、幸福の木、スパティフィラム。ダイニングにはベンジャミン、セントポーリアetc…。家に花があふれているのが当たり前でした。
母が「みて、今年はカトレアに花芽がついたの!」とはしゃいでも、それがどれだけすごいことなのかわからず、私も父も「ふうん」と答えるばかり。母にはいつも「あんたら親子は情緒がない!」と罵られたものですが、幼い私にとって、花は「たまに見る美しいもの」ではなく「いつもそこにあるもの」だったから。
就職して家にお金を入れるようになった頃(といっても最近だけど)からか、私と両親のあいだには僅かばかりの距離ができて、家に帰ってもなぜか自分の居場所じゃないような気がして、たまにどこかに行きたくなります。どこかに行かなきゃいけないような。
仕事場からの帰り道、週末だけ少し遅くまで開いている花屋があって、私は金曜の夜、たまにそこを覗きます。特に花が好きだという認識のなかった私ですが、生活の大半を占める職場での日々に花がないのがなにか辛いような気がして、なんとなく行くようになって。
私がいつか母の元を離れても、そこには花があるような気がします。
花の名前も花言葉もろくに知らない私なので、こんなことを母に話したら「まさか!」と笑う気がするけど、ほぼ予感ではなく確信として。
いつでもどこにも馴染めなかったと昔を語る母は、小説や日記や詩を書くのが好きで、やや厭世的で。ただ、私は鉢植えより切り花の方が好きだし、必ずしも人間より自然の方が素晴らしいとも思わないし、「だったら別々に暮らしましょう」という提案をいつかしても、花がないのはいやだなという気がする。もともとそういう性質があったのか、育った環境によるものか、そこらへんは曖昧だけど。
金曜の今夜、大学時代の友人に会うのでめずらしく花を買いました。そのコのイメージで選んだガーベラを一晩の宿代にと、透明フィルムとオレンジのリボンをかけてもらって。
「花言葉」は、英国のエリザベス朝からヴィクトリア朝時代にかけて、貴婦人が秘めた思いを花に託し恋などを楽しむことで発展したことが起源とされているそうですが、人に花を贈る風習がもっとポピュラーになればいいのに、と思います。卒業とか、引退とか、そういう特別な場面じゃなく、なんでもない日に唐突に「はい」って。もちろん花言葉も意識して。
私の母親は本当に花が好きで、特に切り花より鉢植えや観葉植物を好む人です。リビングには主に蘭、シンビジウム、オンシジウム、ファレノプシス、カトレア、デンファレ。階段にはアンスリウム、幸福の木、スパティフィラム。ダイニングにはベンジャミン、セントポーリアetc…。家に花があふれているのが当たり前でした。
母が「みて、今年はカトレアに花芽がついたの!」とはしゃいでも、それがどれだけすごいことなのかわからず、私も父も「ふうん」と答えるばかり。母にはいつも「あんたら親子は情緒がない!」と罵られたものですが、幼い私にとって、花は「たまに見る美しいもの」ではなく「いつもそこにあるもの」だったから。
就職して家にお金を入れるようになった頃(といっても最近だけど)からか、私と両親のあいだには僅かばかりの距離ができて、家に帰ってもなぜか自分の居場所じゃないような気がして、たまにどこかに行きたくなります。どこかに行かなきゃいけないような。
仕事場からの帰り道、週末だけ少し遅くまで開いている花屋があって、私は金曜の夜、たまにそこを覗きます。特に花が好きだという認識のなかった私ですが、生活の大半を占める職場での日々に花がないのがなにか辛いような気がして、なんとなく行くようになって。
私がいつか母の元を離れても、そこには花があるような気がします。
花の名前も花言葉もろくに知らない私なので、こんなことを母に話したら「まさか!」と笑う気がするけど、ほぼ予感ではなく確信として。
いつでもどこにも馴染めなかったと昔を語る母は、小説や日記や詩を書くのが好きで、やや厭世的で。ただ、私は鉢植えより切り花の方が好きだし、必ずしも人間より自然の方が素晴らしいとも思わないし、「だったら別々に暮らしましょう」という提案をいつかしても、花がないのはいやだなという気がする。もともとそういう性質があったのか、育った環境によるものか、そこらへんは曖昧だけど。
金曜の今夜、大学時代の友人に会うのでめずらしく花を買いました。そのコのイメージで選んだガーベラを一晩の宿代にと、透明フィルムとオレンジのリボンをかけてもらって。
「花言葉」は、英国のエリザベス朝からヴィクトリア朝時代にかけて、貴婦人が秘めた思いを花に託し恋などを楽しむことで発展したことが起源とされているそうですが、人に花を贈る風習がもっとポピュラーになればいいのに、と思います。卒業とか、引退とか、そういう特別な場面じゃなく、なんでもない日に唐突に「はい」って。もちろん花言葉も意識して。
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