青の未明
2006年9月18日そういえばあの日の未明も雨が降っていたなと思い出す頃、すこしだけ開けていたベランダのサッシを閉める音がした。途端に雨音が遠くなる。
ふたたび寝息と雨音が混じる頃、うっすら目を開けて、ほんの少ーし明るくなった部屋を見た。真っ青なTシャツの肩越しから覗けるワンルームの光景は、寝ぼけ眼にも痛々しい。
今日は敬老の日・祝日だ。
酒が原因じゃない頭痛を抱える人はたまに苦しそうに呻いて、私が心配になってすこし動くと、目を開く気配がする。微笑むかたちに動く唇と歯が見える。あと数時間後にアラームが鳴れば、この部屋は空になる。私が先週買って生けたバラはすっかり枯れて青い肩の向こうのゴミ箱にある。
午前三時に床につき、起床したのは午後四時半。13時間半のあいだに何度か電話が鳴った。寝たフリをして聞いていた。
ベンチャー企業の新規事業部の新入社員、これ以上頼りない肩書きもなかろう。そんな頼りない私が頼りにするたったひとりの上司でさえ、徐々に激務と化す日々にどんどん差をつけられて。この任された業務を遂行しないと叱られる、もしくは人に迷惑がかかる、そんな使命感もどきに駆られて仕事をし続けてはや半年。42歳の上司に対し23歳の私にできることはなんだろうと、今までなかなか湧いてこなかった新たな動機にちいさな火がついて。最近のことである。
労働基準法に少しでも基づかない行為があると我が母は私(と私の会社)を責める。私はたまに彼(と彼の会社)を控えめに責めてみるが、ボソボソと続く彼と彼の上司のやりとりを聞きながら、彼が以前してくれた話を反芻する。残業(と休日出勤)しないで済む方法もあるにはあるけど、クオリティの高いものを求める心に嘘がないのだと。
徐々に明けて徐々に暮れゆく日。いちど青く明るくなってまた暗くなる部屋のなかで、私は先に起きてシャワーを浴びて、着替えて、ベッドに腰を下ろす。足を伸ばした人の土踏まずが私のほっぺたにクリティカルヒットして、「すまん、初D.Vだ…」と謝る人に「Dじゃないよ」と突っ込んだら、「じゃあ初Vか、なんか優勝みたいだな」という呑気なやりとり。「先に出るね」と腰を上げる。今日はごめんとなぜか謝りながら玄関まで見送ってくれた人の頭は逆立っていた(見事な寝癖)。
帰宅後は、ギリギリまで放置していた企画書作成に着手。ブログも書かず、メールチェックもせず、「さあて!!」と気合いを入れて。
42歳と23歳はそんなに変わらないのでは、という気さえする。6個の差ならなおさらだ。
ふたたび寝息と雨音が混じる頃、うっすら目を開けて、ほんの少ーし明るくなった部屋を見た。真っ青なTシャツの肩越しから覗けるワンルームの光景は、寝ぼけ眼にも痛々しい。
今日は敬老の日・祝日だ。
酒が原因じゃない頭痛を抱える人はたまに苦しそうに呻いて、私が心配になってすこし動くと、目を開く気配がする。微笑むかたちに動く唇と歯が見える。あと数時間後にアラームが鳴れば、この部屋は空になる。私が先週買って生けたバラはすっかり枯れて青い肩の向こうのゴミ箱にある。
午前三時に床につき、起床したのは午後四時半。13時間半のあいだに何度か電話が鳴った。寝たフリをして聞いていた。
ベンチャー企業の新規事業部の新入社員、これ以上頼りない肩書きもなかろう。そんな頼りない私が頼りにするたったひとりの上司でさえ、徐々に激務と化す日々にどんどん差をつけられて。この任された業務を遂行しないと叱られる、もしくは人に迷惑がかかる、そんな使命感もどきに駆られて仕事をし続けてはや半年。42歳の上司に対し23歳の私にできることはなんだろうと、今までなかなか湧いてこなかった新たな動機にちいさな火がついて。最近のことである。
労働基準法に少しでも基づかない行為があると我が母は私(と私の会社)を責める。私はたまに彼(と彼の会社)を控えめに責めてみるが、ボソボソと続く彼と彼の上司のやりとりを聞きながら、彼が以前してくれた話を反芻する。残業(と休日出勤)しないで済む方法もあるにはあるけど、クオリティの高いものを求める心に嘘がないのだと。
徐々に明けて徐々に暮れゆく日。いちど青く明るくなってまた暗くなる部屋のなかで、私は先に起きてシャワーを浴びて、着替えて、ベッドに腰を下ろす。足を伸ばした人の土踏まずが私のほっぺたにクリティカルヒットして、「すまん、初D.Vだ…」と謝る人に「Dじゃないよ」と突っ込んだら、「じゃあ初Vか、なんか優勝みたいだな」という呑気なやりとり。「先に出るね」と腰を上げる。今日はごめんとなぜか謝りながら玄関まで見送ってくれた人の頭は逆立っていた(見事な寝癖)。
帰宅後は、ギリギリまで放置していた企画書作成に着手。ブログも書かず、メールチェックもせず、「さあて!!」と気合いを入れて。
42歳と23歳はそんなに変わらないのでは、という気さえする。6個の差ならなおさらだ。
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